おはようございます。ヒミツキチ森学園のあおです。
今日はシリーズ「初任研じゃ教えてくれないこと」第3弾として、「学級経営がうまくいかないときに大切にしたいこと」をお送りいたします。
ボク、初任の時に一番悩んだのは学級経営です。
授業は毎日6時間経験が積めるから、ある程度のレベルにはなるだろう…でも学級経営は学ぶ機会を意図的に作らないと、上手くならないだろうなぁと。そんなことを考えていたことを覚えています。
学級経営が上手かったわけではないけれど、たくさんのことを時間をかけて学び、実践してきたという想いだけはあります。
読んで欲しい
- 学級経営はどうやればいいんだろう?という来年の初任の方
- 学級経営が上手くいかなくて困っているという若い先生
- 学級経営に力を入れる時間がないという若い先生
こんな人にお届けできたら嬉しいです。
- 学級がうまくいかない要因の要素分解
- 具体的な手立て
- 大切な考え方
という流れでお話しします。
あお
それでは早速行ってみましょう!
目次
学級経営が上手くいかないときに考える基本路線
授業には力を入れているけれど、なんだかクラスが、ガチャガチャしてきたぞ。。。
ボクが初任の6月に感じたことです。
あお
この子たちに、嫌な思いをさせたくないなぁ。
そう必死で考え、子どもたちの前で涙を流したことを覚えています。
上手くいかない要因を要素分解していきましょう。
経営学を学んでいない人が学級経営をする難易度の高さ
最近Twitterで、初任者に急にクラスを持たせるな!みたいなツイートを見かけましたが、それは多くの先生がずっと感じていることです。
レベル1で経営学も知らない先生が放り込まれるこのダンジョンは、攻略の難易度が高すぎます。しかも周りのレベル20ぐらいの先生たちは、上手くいけば仲間に、ひどい時には敵になったり(笑)
あお
ボクも、初任の時教務主任に「あんた嫌い!」って言われたことを思い出しました(笑)
学年の先生に授業のことは教わるのですが、学級経営って本当に話題にあがらない。ただ、「学級にどの子も居場所がある」というのは非常に大切なことで、そのための打ち手というのは、実はたくさんあるのです。
それを知らない、それを感じない…先生というのは意外と多く、授業研究は熱心でも、学級経営は「感覚」というタイプの先生も少なくありません。
初任のかたが時間の比重をもう少し学級経営においてもいいと思っています。
学級崩壊の原因の多くは「居場所のなさ」からきている
今や学級崩壊は若手、ベテラン問わず起こってしまうものと言われています。
学級崩壊のイメージって怖いよね。学級が回らなくなるんだもんね。
まーくん
あお
そうなると授業がどうこうではありません。
4月から続けてしまっていると、どうやらシステムが疲弊して崩れてしまうのが、11月ぐらいだと言われています。
これはクラスタイプに限定して書いてある記事ですが、担任の先生のタイプではなく崩れることもあります。
そして一番の原因が、「学級の中に子どもたちの居場所がないこと」だと思っています。
アドラー心理学で言うところの共同体感覚の欠如が原因で起こるものです。
あお
詳しくは次の章で語ります。
もともと信頼感が薄く信頼し合えない子どもたち。
ある一定の子が力を持っていて、それが長年続いている学年。
ボクもそういう学年を担任するケースがあり、向き合ってきました。
上手くいくときも、いかないときもありました。
ただ、そこで学んだことは、居場所があることは、子どもたち自体を変えてしまうぐらい大きい要因なんだなぁということです。
共同体感覚を育み、学級の中につながりをつくる
ここでは、「つながりをつくる」ということについてお伝えしたいと思います。
あお
15年の経験、そして今のヒミツキチ森学園での経験から言える、学級経営について一番大事にしたいことがこれだからです。
つながりが自分たちだけでは作れないここ数十年
さて、共同体感覚の話です。
長年、アドラー心理学についての本は読み続けてきましたが、本棚に残っているのはこの2冊です。
今日は「勇気づけの心理学」より抜粋して、説明します。
共感とは、相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じること。
尊敬・信頼・共感の態度をまとめて「共同体感覚」と言う。
この本では、テーマである「勇気づけ」と共同体感覚とが深く結びついていると述べています。
共同体感覚を備えた人は日常生活でも次のような特質を発揮する
- 仲間の関心に関心を持っている【共感】
- 自分は所属グループの一員だと言う感覚を持っている【所属感】
- 仲間のために積極的に貢献しようとする【貢献感】
- 関わる人たちと相互に尊敬・信頼し合う【相互尊敬・相互信頼】
- 進んで協力しようとする【協力】
この本を読んだとき、ボクの学級経営の1年のゴールは、子どもたちの中に「共同体感覚」が生まれることだと感じました。
それ以来、ボクはそのためにできることはどんなことかを考えています。
子どもと先生との間につながりを生むために
まずはボク自身が共感の心を持っていること、共同体感覚を持ち合わせていること。
それが子どもたちのいいモデルになるように、毎日「勇気づけ」を積み上げるのです。
具体的には、2つのことを徹底してしていました。
1つめは、共感の態度で相手の話を聞き、コミュニケーションを取ることです。
簡単なようですが、これはすごく効果があり、毎日全員と2回ずつコミュニケーションを取ります。
え、2回も!!!
まーくん
あお
意識じゃできないこと、だからシステムの力を借ります!
はい、これを意識の力でなんとかしようとすると難しいので、自然とできる、やり遂げられるように、朝は宿題提出のシステムの中に、帰りはジャーナルを出すシステムの中にやりとりを作ります。
もう1つは、共感を相手にも届け、相互尊敬・相互信頼がベースとなり高まっていくように、子どもの良さを伝えるということです。
これは一筆箋の力を借りていました。
一日2通以上届けることで、1ヶ月で1通は必ず全員に行き渡ります。子どもに渡せるということ、子どもが運んでくれるということが鍵で、高学年であっても間接的に共感を届けやすくなります。
この2つを徹底して積み上げていきます。時間はかかるけれど、効果は間違いなくあります。コツコツ毎日やっていくことが大事です。
子ども同士のつながりを生むために
子ども同士の共同体感覚を高める手立ては2つあります。
1つは、所属感を高めながら、相互信頼・相互尊敬を高めるために、毎日のペアを作ります。
ここは注意点があって、席が近い人同士でペアはダメだということです。
必ず全員を混ぜてペアを作ります。
ある特定の集団や所属感を強化したとしても、上手くいかないことが多いのです。
仲のよくない組み合わせというものはあります。同じ席の人がそうだったら、失敗体験だけを積み重ねてしまうからです。
また、仲の良い集団は、放っておいても集まりますよね。
「誰とでもある程度話せるし、一緒に何かができる」
という全体の高まりが、学級の中での居場所に直結してきます。
もう1つは、お互いに聴き合える関係性です。
ペアトークだけでなく聴き合える関係性があれば、奥底にあるものが理解できるようになります。自分の言葉で書いて深く伝えられるようになります。
お互いの理解が進み、相互信頼・相互尊敬の気持ちが高まります。そして協力するときにそれが力となって現れるのです。
大切なことはすぐには見えない、変わらない
学級がうまくいくには、時間が必要なのです。
さらには大切なことは、時間をそこにかけてあげる先生自身の勇気かもしれません。
すぐに変わることは、すぐにできなくなります。
そうではなくて、毎日コツコツ積み重ねていったものが、本当の力になります。
学級経営は、打ち上げ花火で変化していくのではなくて、線香花火のようにじわじわと人の心が動いていって変わります。クラス全体が1つに動こうとするのではなく、個が集まってじわりじわりと動き出します。
そうなってくると、子どもたち一人一人が生き生きし始めて、学習に対する気持ちも高まってきます。
あお
ボクはそういう場面を数多くみてきました。
授業も大切、でも学級経営も大切。
その両輪へのバランスのかけ方、ここをボクも教えて欲しかったなぁ。
そんなふうにふと思って、書いてみました。
あなたのクラスに、今日も生き生きとした子どもたちの姿がありますように。
あお
それでは今日も良い一日を!