おはようございます。
おままごとが長時間できなくて悩むヒミツキチ森学園のあおです。娘と遊んであげたいけど、身体が受け付けない。。。
今日は「ワールドオリエンテーションの成果と課題」についてお話ししたいと思います。
ボクらが1年間で経験してきたこと、挑戦していることについて書き残しておきたいと思います。
目次
ワールドオリエンテーションって何?
ワールドオリエンテーションとは、イエナプラン教育の中で、中心となる学習であり、「イエナプランのハート」とも呼ばれています。
イエナプランでは、子どもたちが重要なツール(基礎学習)を使って探究しながら、世界の中に自分の位置を見出していくことが学校教育の究極的な目的であると考えています。
ワールドオリエンテーションは、「ファミリーグループワーク」とも呼ばれ、問いを協働で探究していきます。
さらにいうと、前回までのみんなのオンライン職員室の学びの中で、リヒテルズ直子さん(イエナプラン教育の第一人者!)が話していたのが、科学の手続きをプロセスごと学ぶことです。
リヒテルズさんの言葉、そのまま伝えると、
「科学の手続きというのは、エビデンスベースで真理探究し、批判的思考を養い、責任ある市民として、社会に参加する力を学ぶこと」
混乱してきたー!?
まーくん
あお
まだまだわからないことが多いので、学びがいがあるんですよね。
イエナプランにおける学習の中心であり、協働で問いを探究していく学習です。
よく理科や社会を混ぜたもの?とか、総合的な学習の時間と一緒?って思われることが多いのですが、そのどちらも違うかなぁと思っています。
ホンモノを大切にする学習
さらにいうと、ホンモノを題材とすることが大事にされています。
あお
ホンモノとはなんでしょう?
ヒミツキチ森学園でも、よく聞くりんごのワークをやってみました。
まず本物のリンゴを使って、できることをあげていきます。
もちろん本物のリンゴに触ってもらいながらです。
たくさんの意見が出てきました。
次に、本物のリンゴをおもちゃのリンゴに変えてみると…
できなくなることがありますよね?
それを斜線で消していきます。
さらに、おもちゃのリンゴは、絵のリンゴへ、そこから文字のリンゴへ。
どんどん減ってしまい、最後はできることがこんなにも少なくなります。
できることの個数をあげてみても
本物 … 36個
おもちゃ… 6個
写真 … 2個
文字 … 1個
ホンモノがいかに優れているかは一目瞭然ですよね。
考えて欲しいのは、これと同じことが安易に教育現場で行われていないかということです。テキストという文字ベースのものに頼り、ホンモノを忘れていませんか?
あお
ぎくっとなりますよね。ボクも初めてこのワークを受けた時そうでした。
ワールドオリエンテーションで、というより教育の中でいかに本物に触れる機会を作るというのが大事なのかを実感してもらえたら嬉しいです。
できることをベースに考えるんじゃなくて、いかにホンモノを子どもたちの前に届けられるか、ボクらが一番知恵を絞って考えないといけないことですよね。
ヒミツキチ森学園のワールドオリエンテーション
ヒミツキチ森学園ではどんなことが行われているの??
まーくん
あお
そこに答えていくね。
ヒミツキチ森学園では、2020年には、コロナウィルスによるオンライン授業があった影響もあり、4つのテーマを学びました。
もともとカリキュラムとして11の大きなテーマを持っていましたが、それをそのまま扱うのではなく、小さなところ、子どもたちの目の前にある課題からスタートして、学んできました。
4つのテーマは次の通りです。
- 新型コロナウィルス
- 葉山探検隊
- 植物の恵み
- 命のつながり
最初は、目の前にある大きな課題、「新型コロナウィルス」について、学習しました。
目の前にあるんだけど、目に見えない感染症に関して、ただ恐れるだけではなく、みんなで学び、深めていきました。
問いを作ることから、みんなで探究するプロセスを一通り学ぶことができたんですね。
続いて、「葉山探検隊」です。
学園の周りの地図作りからスタートして、コロナ禍でしたが、少人数ならと快く見学をさせていただいた郵便局など、学園の周りの地域を探検して回りました。探検や見学でわかったことをまとめながら、それぞれの紹介動画を作ってYouTubeに配信。それは「はやまっぷ」としたマイマップ機能で、保護者も共有できるようにまとめました。
3つ目は、「植物の恵み」です。
学園の庭が植物が豊かなところから、柿の葉を使った染め物をしたり、ミント水を味わったりしていた子どもたち、もっとできるものはないかと、植物観察家の方を「1日せんせい」でお呼びしました。
植物に関する視点で様々なことを教わり、できることを増やしていきます。そのプロセスの中で教科との結びつきを考えることができ、学びがぐっと深まりました。
あお
後ほど話します!
4つ目は、「命のつながり」です。
当初は、自分の先祖や生まれた時のことを学ぼうかと考えていましたが、子どもたちの興味関心が多岐にわたったので、今回は共同でそれぞれが違う自分の問いを探究していくことに。
遺伝について模型を作って詳しく調べたり、人種についてアメリカに在住の日本人の方にインタビューをしたり、探究するプロセスに沿って、大事に学び、最後はみんなに伝えて終わりました。
たくさんのことをやってきたんだね!
まーくん
ワールドオリエンテーションの成果と課題
ここでは、1年間やってみて、成果と課題をあげていくよ!
ワールドオリエンテーションの成果
成果は次の3点かなぁと。
- ワールドオリエンテーションを中心に学習を展開
- ブロックアワーの時間に広げるなど、教科をまたがって学ぶ
- ホンモノを大切にして、学ぶことができた
まずは、ワールドオリエンテーションが中心となって、学習を展開できた点です。
「植物の恵み」を例に取ると、「1日せんせい」で植物観察家の鈴木純さんをお呼びして、いろんなことを教えてもらいました。
次に、ヒミツキチの植物図鑑を作ろうということになり、「ほんの時間」で図鑑の読み方を学ぶんですね。索引の引き方などを学び、目の前の植物がどんなものなのかを知る手がかりを得ました。「作家の時間」では、図鑑の書き方を学びます。初め・中・終わりと文章を整理して表現することを学びました。
「ごかんのじかん」アートの授業では、絵の具を使った葉っぱを描くことを、植物の葉から香水を作り、匂いを抽出することもしました。さらに「ブロックアワー」では、長さを習い、植物の高さを測ることができるようになりました。
ワールドオリエテーションが中心となり、様々な教科に広がっているね!
まーくん
そうなんです、他の教科を学ぶ意味がワールドオリエンテーションによって生まれていたんですね。もちろんそうなるように編成したんですが。。。
学びがつながるってこういうことなのかなぁと。
ワールドオリエンテーションの学びの中で、個人で調べるところなどは、ブロックアワーの時間に行うことができるようになるなど、柔軟に考え、学習計画も立てれるようになりました。
また、特に「葉山探検隊」「植物の恵み」では、ホンモノから学ぶことを大事にしていました。見に行けるもの、手を触れられるものからはたくさんの情報を得ることができて、問いがどっさり出てきました。
そういう問いを大切にしながら豊かな学びにできたのは事実です。
ワールドオリエンテーションの課題
次に課題についてです。
- 問いを探究する難しさとタイミング
- 記録する、保管するの弱さ
低学年が多いうちの学園では、「問いを探究することの難しさ」が挙げられます。一緒にやろうか個人でやろうか…最後の「命のつながり」では、個人でやることが強くなってしまい、協働で学んでいく良さを生かしきれなかった、こちら側の後悔が残っています。
個人の問いと全体の問いをどういうバランスで探究していこうか…
あお
ここは悩むところですね。
また、「記録する・保管することの弱さ」があります。ワールドオリエンテーションの後半に、学びを記録するというところがあるのですが、ここまで計画の中に入れることができていなかった。
子どもたち一人一人にどんな学びがあったのかというリフレクションをして、この探求のプロセスを、自分が、他の仲間が価値のあるカタチで保管しておくこと、その積み重ねが大事だと思っています。
そこはボク自身の課題なので、今年は変えていきます。
今年のワールドオリエンテーションは?
今年のワールドオリエンテーションについては次のように考えています。
- 伝えることをベースにする
- 教科の中心にすえて、これを元に月間計画を立てる
課題を良い方向に変えていくのに加えて、これらのことを大切にします。
まずは、伝えることをベースにすること。
3月の最後に大きな伝える場を設けてみて、やはり「他者に伝えると」に価値があることを感じました。うまくいくこともいかないことも含めて、このプロセスをなぞるって大事なことだと思います。
伝わったのか、伝わらなかったのか、そんなところも含めて、リフレクションができたらと思います。
また、教科の中心にすえて、2ヶ月という単位で月間計画を立てていきます。そうすることによって、学びの中心にワールドオリエンテーションを置きながら、つながって学んでいくことができるでしょう。
あお
ここに力を入れますよ。
この挑戦については、ヒミツキチラボという、新しい取り組みで一緒に追うこともできますので、ぜひぜひ興味がある方はどうぞ!
あお
それでは今日も良い一日を!