おはようございます!
シュノーケル研修を終えたのに、雨や寒い日が続く運のない男、ヒミツキチ森学園のあおです。来週は子どもたちとシュノーケルの授業です。
さて、今日はベンチのある教室の見学記についてです。
伊勢原にある桑原昌之先生の教室に行った2018年の記録です。
結構前のことだね!
まーくん
あお
ボクの大きな転換点になったので、記しておくね!
桑原先生、また伊勢原で先生をしているんだよね。
まーくん
あお
2023年2月に再度お邪魔した記録も追記します!
目次
くわさんこと桑原昌之先生って?
桑原先生は、神奈川県で小学校の先生をしていて、後に長野県にあるイエナプラン スクール大日向小学校の校長先生を務めた方です。
ブログも有名!
この時まで面識がなかったのですが、TwitterのDMで参観のお願いをしたところ、快く受けてくださったのです。
あお
いきなり話してOK出してくれる懐の深さ。。。
ありがとうございます!
ボクの目から見た桑原さんの教室を2018年と2023年に分けて、お伝えしたいと思います。
くわさんのベンチのある教室
6年生の担任、卒業が近い2月に桑原先生の教室を参観させていただきました。
最初にボクらの自己紹介。サークルベンチに集まりました。
実はこのとき、「スムーズな移動だなぁ」と感じました。
集まるときにも授業時間を減らさなかったり、導線が複雑にならないように一応の「定位置」があるのだそうです。
細やかな配慮と試行錯誤があっての教室。
学ぶべきところがたくさんあります。
それにしても6年生なのに男女の距離感が異常に近い。でも平然としている…それもベンチの良さだなぁと思いました。
自然と先生との距離も縮まる。手段によって縮めているんじゃなくて、それが当たり前だから縮まってくる。。。
ベンチを置き続けたことによる姿が、ステキだなと感じました。
掃除の時間からお邪魔しました。
6年生は様々な場所で掃除をしている様子。教室では数人が残って掃除をしていました。
他のクラスも見せていただいたのですが、6年生は3クラスともベンチがあり、さらに2年生のクラスにも1クラス、ベンチがありました。
当たり前のようにそこにあること。
「それによる効果は大きい!」と、放課後、学年主任の先生が話してくださいました。
この子たちは、3年生の頃からクラスにベンチがあるとの話。4年目になると、子どもたちにとってもそれが「当たり前」に。
学年でどのクラスにもあるというのはすごく価値が高いんですよね。
自分のクラスだけでなく、学校の中の他のクラスにもあるって大きいよね。
まーくん
5・6時間目が始まると、ベンチに腰掛けて声をかける子がちらほら。
椅子を動かさなくても、関係性が動くこと。
理想的だと感じました。
桑原先生は周りながら声をかけたり、止まっているところを教えたり…ベンチと机との距離感がそういう絶妙の場を生み出しています。
ベンチがあることで、教室に自分の椅子以外の座るところができる。つまり、空いている椅子ができるんです。この空きがあることが、人とのコミュニケーションを加速させます。また、一人で集中したい子の距離感を確保します。
程よい距離感を生む中央にあるベンチ。お話を聞くとどのクラスもこのような形でやっているとのこと。
昨年度(?)の研究でこうやって見よう、あぁやってみよう…という話を同僚とされていたようです。同僚と質が高い研究ができるのが、なんともうらやましい。
ブロックアワーの時間
子どもたちがどう呼んでいるかを聞き忘れましたが、イエナプランでいうところの「ブロックアワー」を2時間見学させていただきました。
教室前方に大きなホワイトボードがあって、
国語の課題、算数の課題が書かれているだけ。
スタートで子どもたちは「自分の学び」を進めていきます。時おり場所を変えて、課題を変えて、あくまで自分のペース。
過剰な手伝いや協力も少なく、進んでいきます(ここはぼくの理想型!)。
必要あれば声をかけたり、ちょっと脱線して笑い合ったり…でも桑原先生は気にとめるではなく、その時間は続いていきます。
気になってあお先生は声をかけちゃうよね。。。
まーくん
あお
ヒミツキチの今なら気になりません。でも公立の現場にいるボクなら気にかけていたかも。。。
脱線すること、別のことをやるっていう時間に対して、子どもたちの信頼があればちゃーんと見極めることができるんですよ。子どもたちは続けて学んでいくわけで、1週間ずっとその調子なら声をかければいい。戻ってくることへの信頼があるからできる先生の行動なんだと思います。
ボクはこのブロックアワーがすごく大好き。自分のペースで学習する実践を積み重ねてきましたが、この日の教室に流れていた空気感は、理想とするものでした。
桑原先生の教室は、「とにかく自然」。
算数苦手な子が、目の前の女の子の筆箱のキーホルダーを触っているシーンがあって…。どうするかなぁと思ったら、優しく微笑んで、「(勉強)やろうよ」と話しかけていました。
算数苦手な子にも、関わりすぎず、でも気にかける…
関係性が自然な、圧力の低い教室でした。
火曜日の午前中と、金曜日の午後はこの時間だそう。
自分の学びを自分で選択する。それぞれがもつ課題は違うし、2時間という時間だと、一人ひとりのバイオリズムも違う。ずっと一つの学習をしている子もいるし、飽きたら国語から算数に切り替えたり、そのたびに座席を替わったり…本当に自然と進んでいくんです。
ヒミツキチ森学園でもブロックアワーの時間を毎日入れています。
子どもたちが学ぶことへの信頼があるので、何を学ぶか、どう学ぶか、誰と学ぶか、どうやって学ぶかが子どもたちに任されています。週の最初は計画を一緒にチェックし、週の終わりには振り返りをじっくりと対話します。
計画とリフレクションがしっかりと先生とあり、中の学習時間は任されている。。。
信頼によって学習する素地はしっかりできると感じています。
この時の桑原先生の教室には、その素地があったんです。
桑原先生の在り方から学ぶ
ベンチがあり、ブロックアワーがあり…という環境設定から学ぶことも多かったのですが、ボクにとっては桑原先生の在り方から学ばせていただくことが多かったです。
スポーツ理論からくる一貫性
くわさんの軸としているものって何かなぁと思い、ブログも読んでいたのですが、再度聞いてみました。
それは「スポーツの理論」だと話してくださいました。
現状と理想との関係、そこを自分たちで考える。(あぁ、この辺の話じっくり聞きたかった!)
あお
それが一貫して根底に流れているんです。
「やった後の感情から考える」ことも大切にしているとお話ししてくださいました。
いつでも自分たちは行為そのものが目的となってしまう。それを防ぐために「どんな気持ちになるだろう」からスタートする。
授業の時に子ども自身が漢字も算数も丸付けすること、トラブルを自分たちで解決すること、給食当番や掃除当番がないこと…
すべて自分たちで考えていく。そこには丁寧に振り返りのシステムを経て…というよりかは、スポーツでの状況判断と同じような状況で、その場その場で子どもたちも判断していく、そこを大切にしていることも丁寧に説明してくださいました。
「プレイヤーズ・ファースト」についての説明も、ストンと落ちました。
あぁ、そうやって桑原先生が大切にしてきたことと、ご自身が学んできたことがつながって、軸となっていることを実感したのです。
ダブルスタンダードになっている当時のあおの教室
一方、当時のボクの教室はというと…
体験学習サイクルで回している…としながらも、そうではない部分がたくさんある。。そう感じました。
あお
ここだなチャレンジしていくところは。
もっと子どもたちに任せよう、もっと子どもたちを信じよう。
桑原先生の教室を見ていて、感じたこと。
それを一緒に見学しにきていた仲間のトミーと話しながら、いろいろと思いました。
多くの先生たちは、手を打ちすぎていると。
その打ち手が、子どもたちの自主性を奪うことにつながっていないか…もう一度問い直してみる必要がある。
もっと面白がる…ボクらに必要なのは自分のやっていることをもう一度、問い直すこと。
だから、この時の経験は大きかったんだね!
まーくん
学年を見るという視点と手立て
放課後は学年の先生たちも交えて、お話ししていただきました。
この学年結成初日にあった「強みは何か」という対話の時間の大切さを3人ともあげていらっしゃいました。
「お互いの強み」を削ることなく、自分のことを開示する。
それが3人の先生方の在り方から感じられました。
学年研の事務的な話だけじゃなくて、お互いにちょっと声をかける。みんなで掛け合う。気になることがあったら、声を上げる。
これが当時のボクには足りないと感じていました。
数年後の実践につながります
子どもも先生も平均化してしまう。そうしようとしているのではないけれど、結果的に角を落とすことになっていないか。。。
桑原先生の教室に流れるゆるやかな雰囲気、学年の先生たちに流れるチームとしての雰囲気にふれながら、そんなことを思いました。
桑原先生の教室を見学後に考えた次のステップは?
ベンチがあるだけじゃない、桑原先生の理論とそれが相まっての子どもたちの姿、ほんとうに素敵でした。
教室を見させていただいて、月曜日から次のことに取り組もうと決心しましたよ。
- 学年みんなでできることは何かを考える
- ブロックアワーの導入
- 自分の中の自然と不自然を分けて、問い直し続ける
あぁもっと学ばないと、理論的な部分も、実践的な部分もまだまだ。
自分や周りに人の「強み」に目を向けて、何ができるか考えていきたいです!
くわさんの教室2回目の訪問
2023年の2月に再度、伊勢原にある桑さんの教室にお邪魔しました。
4年生の担任をしている桑さんの教室は、もう1日のうちの多くの時間でブロックアワーをやっている状態でした。
あお
うちも午前中はほとんどブロックアワーです。
くわさんの教室では、Chrome bookを使ったGIGAスクールの恩恵を受けながら、さらにブロックアワーがパワーアップしていましたね。
GIGAのおかげで、さらに個別最適化の教育が進んでいました。
そしてそれ以上に学んだことが2つ。GIGAの本質と、先生のあり方です。
まずは先生のあり方の方を。
前回の教室でも感じたのは、くわさんは本当に気にしないんです。
気にしているんでしょうが、徹底して声をかけない。
その分、いつものアプローチ、声の小ささでみんなと関わっていく。
30分学んでいない子がいても、全く放っておきます。いずれ自分で気づいて戻ってくると信じて。
ボクはあの頃(初めて見せていただいた5年前)よりかは声をかけないようにはなったけど、まだまだこの域には達していないです。
子どもたちを信頼するってこういうこと。
また明日からだなぁって。
ちゃんとやりなさいの前に、「毎日ここにいていい」から始めていく。。。
くわさんがそんなふうに言っていました。
ほんと、その通りだよなぁって。
桑さんの教室から見えるGIGAの本質は?
ボクはGIGAスクール構想は不勉強だなぁと思いながらも、本質は今日の対話から掴むことができました。
それは、「AI活用と情報の共有範囲の拡張」です。
AI活用は、人間じゃ限界があることをテクノロジーに任せること。
正直、情報が一箇所に集まるなんて、紙でもできることだと思っています。
それをGIGAと言っちゃだめ。
まーくん
でも、eboardが可能にしている「誰がどうやってどの問題にどれくらいつまづいている」 を全員分集めるなんて、絶対にできないんです。張り付いてずっと記録とっていたとして、一人がやっと。
AIを活用すれば人間ができないことが可能になります。
一人一台で可能にしたいのは、使うことで人が絶対にできないことを可能にするテクノロジーを味方につけるです。
どのツールを使うかは慎重になりたいところ。
もう一つが情報の共有範囲の拡張です。
例えば今まで、先生が知っていること・価値があるとまとめたことは、先生が共有するためのモノ(画用紙やPCなど)がないとわかりませんでした。また算数の教科書の問題の答えは、先生しか持っていませんでした。
情報を先生というリソースに限定することで、一斉授業という構造が可能になっていたんです。
しかし、SHAREという概念が社会に浸透した今、先生だけが情報を持っていない方がうまくいくことが増えてきました。
- 答えは子どもたちが持っていたらすぐに丸つけができる
- 大切な情報は先生の画用紙を見なくても、タブレットを通じて家でも確認できる
- いい情報は子どもたちから先生に提供できる!
すごくいいですよねー。
なるべく多くの情報を共有すること、それが可能なことでの効用は、
HILLOCKで、
今日のくわさんの教室で、
来週行く大日向小学校で、
見れそうです。
あお
それでは今日も良い一日を!
その後生まれた実践はこちら!
2 件のコメント
いいね!私も見に行ってみたいな〜。
その場その場で判断していく、そんな力を育んでいきたいな。
ひわちゃんとこから、かなり近いよー。むちゃくちゃオススメです。こんな素敵な学校があるんだーと嬉しくなりました!