新1年生の頼もしさにビビっているヒミツキチ森学園のあおです。
さて、今日は、「小学校における掲示物の未来」としてお届けします。
あお
「掲示物」って聞いて、何を思い浮かべますか??
そうです、教室の中に貼ってあるアレです。
同じ文字が並んでいる習字の半紙?学級目標?
他に思い浮かぶものってありますか?
今日は子どもたちのためにどんな掲示物がいいのかについて考えていきたいと思います。
目次
小学校、こんな掲示物はやめよう!!
ボクの以前いた学校では、若手の先生たちが放課後の各教室を回るという取り組みをしていました。
これ自体、とってもいいことで、他者のやっていることを見て考えるってすごく大切。学ばせてもらうことが多かったです。
でも、ちょっとここでストップ。
怖かったのが、「この教室の掲示物いいよね!」っていう感覚が皆似かよっていたんですよ。
いいじゃん!それのどこが問題なの?
まーくん
あお
「いい教室」という共通感覚が20年前と変わっていないんだと思う。
その要素を挙げてみると‥
- 掲示物がしっかりしていて、クラス中にビッシリ貼られている。
- どの教科の足跡も残っている。
- 子どもの手作り感と、教師の力作とが共存している。
といったところでしょうか。
「これいいよね!」の感覚がみんな似ていたこと。
掲示物って子ども側からどう見えているのかな。
本当にこれがいい!は先生と子どもとで一緒なのかなぁと思ったんです。
掲示物の貼り方の工夫も進化している!!
掲示物は、いつの時代も同じ、数十年変わらないもの…
本当にこれでいいのでしょうか??
まず、本当に必要な掲示物は限られていると思っています。
例えば係(プロジェクト)のポスター、これは必要ですよね。
学級目標も大事だと思っています。
では、国語や算数の学習の掲示物は?
それも必要だよね!前の時間の学習したことがわかった方がいい。
まーくん
あお
そうそう。でもそれっていつも貼っておく必要があるの?
ここがポイントだと思うのですが、
その学習の時にだけ必要な掲示物というものがあるんです。
国語はその学習の時にだけ必要です。新出漢字の確認とか、前時の学習の軌跡とか…
じゃあ、必要な時だけ取り出す掲示物を作るにはどうしたらいいでしょうか。
あお
先生はたくさんの問いを持っておきたいですよね。
例えば、物理的に取り出すに着手した場合、ホワイトボードシートとプラダンでこんなものを作ることができます。
これはこれで、必要な時に取り出す掲示物として活躍しました。
あお
これだけだとまだ不十分なので、まずは掲示物についての大事なポイントから考えたいですね。
掲示物のコンセプトは次の3つです。
- 毎日必要なものを掲示する
- その時間に必要なものは、その時間にだけ掲示する
- 子どもの感情が動くものを掲示したい
掲示物の作り方の基本は、毎日必要であること
基本は毎日必要なものだけを掲示するです。
ここに掲示が必要なものを挙げておきます。
- 係のコーナー
- 日直の仕事
- 水やりの当番
- 作家や読書家などの、学習コーナー
- 習字・作品かーど・図工などの定期的に入れ替える掲示物
- 学級目標
- 今、クラスで取り組んでいること
習字、図工などはインテリアとして機能しているかですよね。
ボク、正直、5日で景色に変わってしまうと思っているんです。ただ、ここが学校で貼りましょうが決まっている場合も多いので、そこに準ずるだけです。
あお
そこは勝負するところじゃない。
ただ、それ以外は、必要じゃないものは貼らないようにしていました。
それが邪魔になってしまう子も今は多いもんね!
まーくん
取り出すことができる掲示物で工夫しよう!
ボクの掲示物の概念を大きく変えてしまったもの。
それは「50インチのテレビ」です。
これが10年ほど前に学校に入ってきました。
※全国ではないと思いますが、割と多くの自治体に入ったのではないでしょうか。
この大きなテレビとipadで、掲示物の事情は大きく変わったなぁって思ったんです。
そうか、このテレビに映すのか!?
まーくん
あお
そう!いつでも取り出せるようになったんです。
ipadと大型テレビで、必要なものはいつでもテレビの大画面に取り出せるようになったんです。
今まで改めて紙に表現していた掲示物も、黒板に書いた文字のまま、掲示物として取り出すことができるようになりました。
あお
大きな転換点だと思いました!仕事の時間も短くできました!
掲示物にかけていた時間は減るばかりか、最初からモニタでの掲示を意識して、板書することも出てきました。
写真はモニタに合うように、必ず横向きで撮ったり、9×16に合うようなサイズ感で板書したりです。
モニタのおかげで学習に必要な掲示物は取り出すことができるようになりました。
余談ですが、ヒミツキチ森学園でも50インチのモニタとApple TVで授業をしています。
GIGAで掲示物がさらに変化したことは?
GIGAでさらに変化したことがあります。
それは、一人1台の端末の中に掲示物が入り込んでしまったということです。
あお
GIGAの本質の1つには、情報の即時共有があります。
ここで、掲示物の役割を確認しておきましょう。掲示物って情報の共有のためにあるんですよね。
先生と子どもたちが一緒に共有しておきたい情報を見える化しておくこと。
共有しておくことが必要なものを掲示してたんだね!
まーくん
実は、GIGA端末によって、その共有先はタブレットでも良くなりました。そう、必要なものを必要なときに取り出すのはみんなの端末の中でいいのです。
こりゃ便利だ!?
まーくん
すると、そこから考えられる、GIGA時代の「掲示物の本質」とはなんでしょうか。
あお
それは「共有のスピード」です。
端末から開く場合は、電源を押して該当ページを、ロイロノートやスクールタクトで開くわけです。これは共有ができるけど時間がかかります。
「掃除当番を確認する」みたいなものが掲示されていなければ、子どもたちは毎回机に戻ってタブレットを開いて確認する必要があります。
あお
それだと不便ですよねー
つまり、タブレットを持っていないタイミングで、共有を急ぎたいものを掲示していけばいいと思うのです。
この辺りは、皆さんの方が詳しいはず。
あお
掲示物にしておかなくちゃいけないものが見えてきましたか?
ヒミツキチではスクールタクトを使っています!
掲示物の貼り方の工夫
掲示物って何で貼っていますか?
ボクが小学校の現場にいた頃にも、画鋲の代わりになるものが出始めていました。
それまでは、掲示板にしか貼れなかった掲示物が、貼る画鋲のおかげで、どこでも貼れるようになったのは、革命的でしたね。
- 貼る場所を固定する
- 貼る高さを子どもが可能な高さと見やすい高さの中間点にとる
掲示物を貼るときは、子どもたちが「このスペースは係の場所だ!」と認識できるように、ある程度固定することが大事です。
空間が限られていることで、この空間内に作るといったクリエイティブも発揮できると思います。
また高さがいつも悩みの種ですね。
掲示物は子どもたちが貼れる高さがいいと思っていますが、全体から見やすい高さにないといけません。
高学年なら問題ないですが、低学年の場合は難しいので、高さの方を優先していました。
椅子を使って貼ってもらっていたね。
まーくん
用務員さんにお願いして、高さが調節できるロープを使った掲示物にしてもらうなど、いろんな工夫を凝らしていました。
子どもの感情を動かす!おしゃれな掲示物のデザイン
さて、最後はヒミツキチ森学園の正面玄関をご覧ください。
子どもの作品や大人向けの本や、季節のインテリアが飾れるように、大人たち、それを子どもたちが引き継いで、木材でディスプレイを手作りしました。
あお
皆さん、ありがとうございます!
インテリアデザイナーを目指す子どもサポーターに、こちらのコーナーを任せていますので、現在の状況はもっとオシャレになっています!
こういうデザインのインテリアって子どもの感情を動かしますよね。
気持ちがアガる!優しい気持ちになる。感情を動かすっていう要素も、掲示物にはあると思っています。
質素簡潔な教室ならいいわけでなく、その教室に愛着を持つには、子ども自身がインテリアを作ったり、掲示物や教室をデザインしていく必要があります。
教室のデザインのための余白を残すためにも、必要な掲示物の精選って必要かもしれませんね。
「役に立つ」掲示物から、「意味がある」掲示物へ…どんどん変わってきているんだね!
まーくん
自分が小学生の頃と同じ掲示物が並んでいるなら…
さて、本来、大切に残したい文化というのはあります。今までの文化を大切にしながらも、新しい形、社会に合わせた形を模索していきましょう!
こりゃすごい!
っていう教室に出会うことがありました。
今日の点が整理されていて、必要な掲示物に精選されているものでした。そこから見えるその先生の哲学がありました。ただ綺麗なだけじゃなくて、その教室に子どもが過ごしているのがよくわかったんですね。
ボクはあんまり整理整頓が得意じゃないので、ボクの教室が最良ではないです。ただ、今日書いたことを守りつつ、居心地のいい教室にはできていた…
あお
と信じたい(笑)
皆さんのこだわりもぜひ教えてくださいね!
こういった先生の仕事一つひとつについて探究してみません?
掲示物や教室環境以外にも、学校というものを捉え直して日常をデザインした例が多数載っているのが、こちらの本になります。
ぜひ手に取ってみてください!
まーくん
あお
それでは今日も良い一日を!
教室環境についてはこちらも!