おはようございます。手作りパフェを楽しんだら、無限に果物を食べ続ける無尽蔵な次女の胃袋に仰天したヒミツキチ森学園のあおです。大食いチャンピオンになりそうです。
さて、今日は「小学生の子どもにシステム思考の授業!」と題して、オルタナティブスクールでの「システム思考の授業」の実践記録をお話ししようと思います。
日本初の小学生対象の授業なんだってね!!
まーくん
あお
そうなんですよ、この授業が、子どもたちにとって必要なわけについても、今日は話していくよー!
システム思考のことを知っている方もそうでない方も、この考え方を学んで欲しいので、お伝えできれば嬉しいです。
それでは、早速いってみましょう!
まーくん
目次
システム思考って何?学ぶための本は?
システム思考って何のことなんでしょう??
あお
そこにいく前に、今回の講師をしていただいた福ちゃん、さきちゃんのことを紹介させてくださいね!
福ちゃん(福谷彰鴻さん)
国内ベンチャー経営企画、在米ヘルスケア企業マーケティング部門などを経て、2012年よりSoL(組織学習協会)にてピーター・センゲが講師を務める各種ワークショップの運営をサポート。帰国後、未来の社会をつくる教育分野でのシステム思考普及に従事し、中学・高校、大学で生徒・学生及び教員向けにワークショップやコンサルティングを行っている。Hult International Business School MBA。
さきちゃん(風間紗喜さん)
システム思考教育ファシリテーター。人材系企業で学校教育事業に従事後、学童保育運営会社の創業に参画。経済産業省「未来の教室」をきっかけに幼児向けのシステム思考レッスンをクマヒラセキュリティ財団にて昭和女子大学附属こども園等で展開する。探究学舎、教育系NPOでも働くパラレルワーカー。慶應義塾大学経済学部卒。
ピーター・センゲさんって?
まーくん
あお
それまで専門家のためのものだったシステム・ダイナミクスを、経営や教育分野で広く実践的に使われるするのに貢献した人なんだ!
ピーターセンゲさんの著書
さて、話を戻して、システム思考とは何か、でしたね。
子どもたちにもわかるように、「システム」を福ちゃんが話してくれましたよ。
1つが動いたら2つ以上のものが、それに反応して動くつながり のこと
自分たちの周りには、無数のシステムが存在する。
周りにある「システム」の存在を明らかにしながら、物事を考えていく、その思考法のことを「システム思考」と呼んでいます。
あお
システムを見るっていうものの味方を獲得すること、それを元に考えていくことかな。
あなたも勉強中なのね。。。
まーくん
システム思考×小学生の授業①② システムとは何か?
実はこのシステム思考の学習、子どもたちに教えるにあたっては絵本との相性が抜群なんですね。
ボクも絵本を使って様々な授業を組み立ててきました。絵本が持つ力の大きさには、いつも驚かされるばかりです。
毎週のように、別の絵本を借りて、子どもたちの学びに生かしていました。
その絵本との組み合わせをもっと考えることができるんじゃないか…そんな風に思ったんです。
人の気持ちとシステム
最初の授業では、システムを理解するために、こちらの絵本を読んでくれました。
実は、この絵本の内容については、ボクも教員時代に学んできたことだったのです。
これを使って、システムを考えます。
考え方と行動と人の気持ちが繋がりあっていて、2つのシステムができていることに気がつくことができました。
ボクらの人の気持ちにも、システムがあって、繋がりあっているんだよね、ってことが確認できたんですね。
わかりやすい絵本から、システムの図があり、理解する‥
まずはシステム思考の学びの一歩目を切ることができました。
このほかにも1回目の授業ということで、システムを体で表現して、つながりを理解するってことも学びました。
実際に表現してみることで、理解することができました。
時間軸とシステム
2回目の授業では、こちらの絵本を使って、システムについて学びました。
時間に沿って変わるシステムについて、学びました。
一回目とは違って、いくつかのツールを使いました。それによって、時間によって変化していることが分かったんですよね。
実は子どもたちって、時間によって人の気持ちが変わるってこと自体、無自覚だったりするんですよ。自分の気持ちも時間をおくと変化して、友達と仲直りができるってことがありますよね?
自分の気持ちに対して考察し振り返るのは難しいんですが、絵本の気持ちならわかりやすいんです。
こうすることで、自分の気持ちにも時間軸に沿って変化する瞬間に気づくことがあるのだと思います。
あお
もちろん、それだけじゃなくて、こういうシステム自体に触れることも大事だと思うんだ!
大人になっても使う学びこそ価値がある
ここで改めて感じたことは、学びに子ども専用の学びは無いということです。
大人になっても使う学びに触れて欲しい。大人の学びと子どもの学びとは同じなんです。
だからこそ、子ども時代の学びも大人同様のものを使って、ずっと使い続けられるものがいいね!
まーくん
つながりの輪というツール
システムを理解するために、使っていたのが「つながりの輪」というツールです。子ども用のツールではなく、大人になってもこのツールは同じように使うんだと思うんですよ。
あお
実際にボクも1回じゃ理解できないのですが、現象を子どもたちと共に考えることで、少しずつ理解できています。
大人のボクも、これを使いながら学んでいるんです。
システムってそれぐらい日常の中に当たり前のように根を下ろしているから、注意深く見ないと、見えてこないんです。
でもその考え方があれば、誰かを批判することなく、誰かのせいにすることなく、自分の打ち手を持ち続けることができる。
こういうツールも、大人こども関係なく、必要だから学ぶんだね!
まーくん
システム思考を丁寧に「日常への橋渡し」する
福ちゃん、さきちゃんが話してくれたことで印象的だったのは、
「橋渡しできるのは、授業をした私たちにはできないこと。だから授業と授業の間にできることをやってくれて嬉しい」
ということでした。
ボクもこの連続講座、授業と授業の間にどんなことができるかってことが大事だと思っているんです。
1回目の授業の後には、校長を中心に、「幸せのバケツ」がヒミツキチ森学園への共通言語になりました。
2回目の授業の後には、喧嘩の時に、つながりの輪が考えるきっかけになりました。
「あ、もしかしてボクのせいでもあるのか?」
って気づく瞬間があったんですね。
こういう日常への橋渡しは、グループリーダーであるボクの役目。少しずつシステム思考がヒミツキチ森学園の日常に浸透していくためには、どんなことが必要かを考えていきたいです。
システム思考×小学生の授業③ 数から学ぶシステム
今回は、3回目になりますね。
自然の中にもシステムがあるんだ!を学ぶ回でした。
さきちゃんが選んだのがこちらの一冊。
いろんなことが学べるエリックカールさんの一冊。これは知らなかった本。
システム思考を学ぶ絵本を選ぶのが難しいんだってー!
まーくん
あお
わかる!読むのにかかる時間もあるし、システムを学ぶってどんなものが入ってるのかも難しい。
ちいさなたねで数とシステムを考える
ちいさいたねがたくさんの種とともに風に乗って旅をする。
他の種は、その大きさゆえ、灼熱の太陽にやられたり、動物に食べられたり‥でもちいさいたねは生き残る。
最後には大きな花を咲かせ、また種が飛ばされていく。
絵本を読んだ後に、「種の数」をグラフにしていくところから始めました。当時は1・2年生が多いということで、グラフは難しいかと思いつつも、プリントがしっかりしていたおかげで、みんなも楽しく表すことができました。
自然の中につながりの輪を見出す
種の数は減ってくるけれど、実はその減っていく中にもシステムがあるということに気づく…前回の「つながりの輪」を使って見出していきます。
例の後、子どもたちは自分でチャレンジしたんですが、この時間がすごく良かったです。
それぞれが見出したつながりの輪があるんですね。
たねを飛ばして、それが花になることもシステムだし、太陽が花を咲かせたり、種の邪魔になってしまうってこともつながりあっている。
「いろんなものがつながりあっている」のが世界なのに、ボクらは、分けて分断して、責任の所在を誰かに押し付けて満足してしまう…
あお
そんなことは皆さんの周りにないでしょうか?
- 学校と保護者
- 親と子ども
「分断することで、責任はそっち側だよね」
としまいがち。
でも、システム思考を学ぶと、いろんなものがつながって起こっているのがわかる。
これこそ、システム思考の学ぶ意味だと思うんです。
まーくん
自然の中のシステムから食物連鎖にも…
そうやって見ていくと、途中花を抜いてしまう男の子も、たねを食べてしまう鳥も、実は悪者じゃなくて、自然界の中では必要なことをしているってことにも気づきます。
これが食物連鎖だよと。
このグラフ化やつながりの輪がない中で食物連鎖を教わるのと、今回みたいにシステムを見て教わるのでは、全く価値が違うと思うのです。
システム全体を見ずに、子どもたちにものを教えていることはありませんか?
ボクはそれを痛烈に感じ、反省しました。
あお
まだまだ勉強不足です。
システム思考×小学生の授業④ 身の回りにあるシステム
この時間は次のような流れで進みました!
- チェックイン 前回の復習
- ヒミツキチの中にあるシステムを探そう!
- ニホンオオカミから見るシステム
この日は実際に、ヒミツキチの中にあるシステムを動き回って探しました。
グループになって、いろんなものにシステムが隠されていることがわかりました。
- 時計の短針と長針
- コセンダングサ 人にくっつきタネをとばす
- 電気のセンサー 人が通るとつく仕組み
- 自転車の仕組み
ペダル チェーン スピードとブレーキ - Ipadを見てる、気になって集まる
- 磁石と鉄
システムはボクらの暮らしの中に自然と入り込んでいて、切っても切れないということを学びました。
でもそれを切り分けて考えようとすると、いろんなことが上手くいかないわけね。
まーくん
あお
そうなんだよ、「書く」をバラバラに教えることも、まさしくこれに当たるんだよね。
切り離せないシステムを、切り離して伝えると、変なことが起こるんだろうなぁ。
社会に出たときにシステムという見方を身につけていないのは、教え方にも寄るのかもしれないと、ボクも振り返りました。
次にニホンオオカミから見るシステムについてです。
あお
ヒミツキチ森学園の学びとつなげて、お二人が即興で中身を作っていきました!
ワールドオリエンテーションで学んでいる、ヒミツキチでの学びを拾って、その場で考え広げていく姿、ボクもたくさん学ばせてもらいました!
ニホンオオカミの絶滅については、それだけ見ると、かわいそう…で終わってしまうのですが、「わたしのシステム」の周りに、「みのまわりシステム」があり、「よのなかシステム」があり、システム自体が絡み合って起こっていることなんだということに気づきました。
こういう広範囲でのシステムに気付く目線も持ち続けたいです。
システム思考×小学生⑤ システムの見方をさらに拡げる
この回は、次のよう流れでした!
- チェックインと振り返り
- クマのニュースを題材にしてシステムを見る
- システムを捉えるときのポイント、「システム思考者の習慣」を元に学ぶ
チェックインの後、クマのニュースからスタートです。
- シャインマスカットとクマの話。
- 山形県で実際にあった話。
- クマがマスカットを食べていた。
- 農家の人は、花火で追い払ったが…
- また来て、1週間で4回も出没。
- 被害総額10万円以上。
いっけん、クマが悪いように見えるけど。。。
まーくん
あお
そこを深めていきました。
最初、クマが来たとき、農家さんはどんな思いだっただろう。
- 一匹ぐらい殺しちゃっても
- クマに弁償させたい
- 仲間呼ばれたらどうしよう
- 罠にはめたい
ちょっと広げて、他にどんな見方ができる??
- 人間の開発でクマのエサ、減ってるんじゃないか
- 他のエサをやればいいんじゃないか。
できごとに対して、
- どうしよう??
- どうして、何がそれを起こしてる?
この2つはどう違うだろうか。
子どもたちの意見から、
1は、私が悩んじゃう、行動を表している、急いでいる。
2は、解決に向かう、ゆっくり進む。
などが出てきました。
ボク目線で言うと、1は主語が「私」、2は主語が「システム」なんですよね。
私を主語にした途端、視野が狭くなって、どうにかその場を逃れたいという思考になってしまう。反対にシステムを主語にすると、視野を広く保てるんじゃないかと考えました。
その後、子どもたちと一緒に考えて、
- 人間の開発
- 里山が荒れていく
- 引っ越しで人が減っていく
- 草が伸びて姿を隠せる
- ハンター減っている
- お年寄りが多い
などなど、いろんなシステムがあることに気づきました。
最後は、システムに対して、
別の見方から考えてみる
時間によって変化することを思い出す
という大切なことを深めることができました。
さらに、「システム思考者の習慣」の資料から、ヒミツキチの中のシステムをさらに見つけていこうという宿題ももらったところです。
あお
全5回を経て、どんな気づきがあったか、振り返りは次の章から。
システム思考で小学生でも見える世界を探究する
この章では全5回を経て、どんな授業だったのか、子どもたちにどんな変化があったのか、2年後の影響も含めてまとめていきます。
子どもの心を解きほぐすチェックイン
まずはお二人が授業の中で、チェックインの時間を様々な方法で、大切にしているということです。
月に一回のヒミツキチでの学びを考慮してということもあると思いますが、その部分を丁寧に進めていました。
4回目は、今の気持ちを声に表す
5回目は、今の気持ちを絵に表す
毎回違うチェックインで、子どもたちの状態を探りながら、ほぐしている様子がよく伝わってきます。
子どもたちの表情も、このチェックインで変わっていくね!
まーくん
もう複数回来てもらっている二人ですが、それでも子どもたちは「緊張すること」があると聞きました。
あお
こうやって丁寧なチェックイン、ボクも心がけていきたいです。
子どもとの接し方、傷つけない雰囲気づくり
改めて子どもたちとどう接するかを考えさせられました。
二人がサークルの中で、みんなの意見を拾いつつ、受け止めつつ、スルーもしつつ(笑)、場づくりに長けていて、本当に勉強になります。
子どもの心を受け止める、また伝えるというキャッチボールがとっても丁寧なんですね。だから毎回の授業で、子どもたちは満足がたくさん生まれているんです。
あお
改めて、自分の受け止め方、伝え方を見直すいい機会になっています。
何より、いつも授業をさせてもらっている子どもたちを、少し外から見る機会をいただき、子どもの姿にも発見がありました。
近くで見たり、立場を変えたり、いろんな立ち位置が、気づきをうながすね!
まーくん
この辺りが、2つのクラスに分けれるようになった今の「有意義な視点づくり」につながっています。
毎月、2人に学園に来てもらうありがたさ
さらには、定期的にうちの学園に来てくれる外部の方って、福ちゃんとさきちゃんだけなんですね。
最終回のMTGの中で、
「ヒミツキチの子って、頭に浮かんだことを表現するまでの回路が速い!」
って言ってもらえたんですけど、それってボクらは気づかないんです。
いろんな場を見ている二人が、客観的な視点でフィードバックをくれることも大変ありがたく、ボクらになかった視点です。
あお
定期的に外部の方に入ってもらうってこと、来年度はやっていきたいな。
10月から毎月授業をしてくれた二人と、授業だけじゃなく、準備や振り返りのミーティングを続けてきたことで、学園の子たちの良さや輝きを再確認することができました。
本当にありがたいです!
数年経って見えること・わかること
実際に今、あれから数年経ってみてわかることはある?
まーくん
あお
教わったことが、ちゃんとヒミツキチの中に根付いているのだと思う。
例えば、最近では海クラスの朝サークルで「W杯の裏側にある移民労働者の問題」を取り上げました。
すると、自然につながりの輪を使った話になるんですよね。
福ちゃんとさきちゃんのシステム思考の授業から数年が経っているんですが、その考え方は確実に受け継がれていて、子どもたちが見えている範囲がすごく広がっています。
何かを見るときに、システム全体を見るようになりました。
あお
それがきっかけでこんな面白いことも。
確実にその考え方は受け継がれています。
小学生にもシステム思考を!全5回の授業を終えて
小学生対象のシステム思考は、福ちゃんやさきちゃんとつくる1つのチャレンジでした。
ボクらは振り返りも毎回入れつつ、より良いものができるようにしてきました。
システム思考を学ぶからこそ、そこから見える世界の探究を楽しむ。
大人と子どもの学びがつながる瞬間でもあります。
福ちゃんとの学びはまだまだ続いていて、こんな学び場を作っています。
自分自身もシステム思考を学びながら、子どもたちとも学びをシェアしている…
こんな今の状況がとっても豊かだなぁって思うんです。「やりながら学ぶ」だからこそ、学びの視点が多く、とっても面白いんですね。
あお
機会をいただけたこと嬉しいです!
小学生のお子さんがご家庭にいて、実際にシステム思考の授業を受けたいという方は、お二人がオンラインでも実施しているので、ぜひこちらをどうぞ!
ヒミツキチ森学園の子じゃなくても、オンラインでシステム思考を学べるんだー!
まーくん
あお
毎月やっているみたいなので、ぜひ!
長文、お読みいただきありがとうございましたー!
あお
それでは今日も良い一日を!
福ちゃんとの講座はこちら!