おはようございます。夏休みも終盤に入ったというのに、終えなくちゃいけない仕事は全く序盤のところで震えている「あお@aosenn」です。
さて、今日は一冊の本をご紹介します。
学陽書房のモニターとして献本していただきました。読んでみての感想を書きたいと思います。
目次

この本は、組織の壁を超えた公務員のトップランナー10人の姿を描きながら、常識・前例・慣習を打破する仕事術が学べる本になっています。
こういうインタビュー形式の本は、よく西村佳哲さんの本で慣れていて、いろんな示唆に富んでいるケースが多いのですが、この本も読みながら先生の仕事と結びつけ考えさせてもらいました。
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10人の方は本当に公務員ながら仕事の内容は様々、取り組み方も様々で、誰かのインタビューがきっとあなたに刺さることでしょう。
同じ公務員として、先生にもヒントが載っている本だと思います。
ぜひ教員の方も読んでみてくださいね!

まずは児童虐待の対策の専門家、神奈川県の鈴木さんのお話から
以前は、子どもが安全な状態であると言う基準は明確ではありませんでした。しかし、サインズ・オブ・セーフティでは、安全の基準を定義することで、その基準を満たすことができれば、子どもが家庭の中で安全に暮らすことができるんです。これも児童相談所が家族と同じ方向を目指すことのできる一因です。
78ページ
基準を定義することは改めて大事だと思いました。先生という職業もなかなか数値としては成果を測りにくい仕事なんです。
でもそこに敢えて、「数値化をすること」を取り入れてみる。できないと思っていたことを数値化することで、実は行動につながることがあるんですね。
ボクらの市町村には、子どものアンケートから数値化してクラスの状態を見る独自のアンケート分析があります。それらを使うことはあまり先生たちは慣れていないので、1回取って終わりにしているケースもほとんどだと思うんです。
でも、数値化された貴重な資料だと思って、ボクは割と活用しています。一人ひとりに目を向けるためには、こういう数値化された資料はすごく大事で、
「え、この子こんな答えしているんだ。」
「分析するとこうなんのね。」
っていう視点は非常に重要です。
どうしても先生の主観で「どういう子か」を判断されやすいのが学校の中の子どもたち。前の学年で困らせていた子が、大活躍するなんてのが常なんで、先生の主観的な見方に頼りすぎちゃいけないと思うんです。
客観的な視点をどう得るか、そこに根拠があると、見方が定まってきます。
[say img=”https://ao-labo.com/wp-content/uploads/2019/04/IMG_3638.png” name=”まーくん” from=”right”]数値化って大事だね![/say]
また、子どもたちに1年間を終わった後にアンケートを独自に取ったこのようなケースもありました。
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この時は、市町村のアンケート資料ほど根拠にはならないのですが、「自分の感覚と子どもが感じていることのズレがないか」はよくわかりました。
この数値化のおかげで、次年度の取り組みの方向が決まったので、数値化は行動を促すものになり得ると思っています。

続いては、業務改善のエキスパート酒井直人さんのお話から
役所ってどこか甘いんですよ。民間だと頑張らないと会社が潰れたり、部署がなくなったりしますよね。でも、役所は潰れないと思っている。
その向き合い方は、もうダメなんです。自分が妥協すると、結果的に住民が損をすることになるんです。
172ページ
ボクもこの感覚がすごく大事だと思っています。
以前プログラムデザインを学びに行った時に企業の方にはっきりと言われた言葉があります。
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「先生は、成果が出なくてもやっていける。なんとなくクラスがいいクラスだったね、で次に行ける。それって生ぬるいことじゃないか。」
ドキっとしました。
確かにボクたち教員は、大きな成果が出なくても、子どもたちが笑顔でいればOKなんてことがあるんですよね。学級崩壊させなければOKみたいな。でも本当はそれじゃいけないんです。上を向き続ける姿勢がボクらには必要で、そこは絶えず努力を重ねてきたつもりではあります。
しかし時にこの言葉を思い出す必要があります。
自分の妥協は、自分の目の前の子どもたちを、街を裏切ることになるんだ。それは未来を託す子どもたちに悪影響を与えてしまうことになるんだ。
現状維持ではダメ、よりよくなるように、肩の力は抜きながら、仕事に向き合い続けたいです。

続いてふるさと納税の黒瀬啓介さん。
事業者さんを増やしていくにあたって、自治体に有り勝ちな進め方はしませんでした。色々な団体に参加をお願いして回るのではなく、共同事業という対等のスタンスでお願いしたんです。
145ページ
この対等にやり取りをするというのが、実はすごく大事なことだと思っているんです。上下があるような関係ではなく対等に仕事をする、だからこそいいものを生み出せると思うんですよね。
[say img=”https://ao-labo.com/wp-content/uploads/2019/04/IMG_3641.png” name=”まーくん” from=”right”]どんな時に、対等に仕事できたの?[/say]
[say]昨年のことなんだけどね…[/say]
昨年度は総合的な学習の時間で、周年行事の跳び箱をクラスでデザインしました。
かなりいいものができたのですが、そこには地域の看板屋さんとのやり取りがありました。普段つながりがある方ではないので、ボクもつながりを作るとこからデザインしていきました。
しかしながら、出会いの演出のために事前に打ち合わせをしておいて、子どもが電話をかけるところからスタートしようとしたら、
「まどろっこしいから、それはいい。」
とビシッと言われてしまいました。
ボクもどこかで「協力してくれる相手」の感じをいつもと同じようにしていたのだと思います。しかしながら、看板屋さんは無償で、しかも商売の合間に相談に乗っていただいています。他の学校に「こういうのやってみませんか?」っていう企業とは全く違うスタンスなんですよね。
対等に接していただいたからこそ、子どもたちの目も真剣さが宿っていました。教えていただいたのは1時間ほどですが、普段の出前授業との吸収率が違いました。
結果、ステキな跳び箱のデザインが完成したのです。
時に先生がへりくだったり、出前授業だからと相手にお願いされたりなんてことが仕事柄多いのですが、こういう対等にやる意識というのは、非常に大切だなぁと感じました。

最後に二人の方のインタビューを通じて、組織の動かし方について学んでいきましょう。
一人目は公会計の山本さん
最も大事なプロセスは、関係者の気持ちを緩やかに傾けていくことだという。
「物事が変わるのは、人の気持ちが変わった時だけなんです。だからこそ、反発が少ないように少しずつ方向性を出して、機が熟したタイミングに、それまでに集めたあらゆる根拠を並べて、決済を通しに行きます。」
97page
物事が決定しても、人の感情が動いていないと、そのあとの実行で不具合が生じてくるんですよね。
ボクが根回しが嫌いな理由がそこにあります。
根回しが必要な案件というのは、きっと誰かの心が動きにくいものなんじゃないでしょうか、だから無理やり根回しが必要になる。それだとその後のどこかできっと上手くいかないことが起こるんです。
だから、機を熟すのを見てタイミングをはかるんです。そして人の気持ちが動くように小さな成果を小さなチームで出していくんです。学校なら子どもの姿が変わるところを見せるなどして…。
前述の鈴木さんはこのようななことも言っています。
鈴木は過去を否定しないことを心がけた。
「先輩の業務の中に含まれていたサインズ・オブ・セーフティの要素をまとめて、広めることもありました。過去の歴史の中には、新しい取り組みと共通の方向性が必ず存在します。それを見つけて、強調することが大切なのです。」
82page
過去を否定するだけ、現状を否定するだけじゃ何も生まれません。
過去の中に視点を変えると共通項が見つかることがあるんです。そこを協調しながら、過去の良さも踏まえて提案していくこと、そうすると、人の気持ちがちょっとずつ動いていくんですよね。
人の気持ちを緩やかに傾けるためには、「過去や現状を否定しない」ということも大事だと思います。

ボクはこういう先生の仕事とつながってい本に、最近すごく興味があります。先生のための本では得られないことが得られるからです。
ぜひ、皆さんも読んでみませんか?