おはようございます。
スペイン戦での勝利の厳しさを実感しているヒミツキチ森学園のあおです。日本代表、頑張れ!
うちの子、1年生だけど友達ができないんです。先生どうしたらいいですか?
保護者
小学校の先生をしていた時、こんなふうな相談を受けることがありました。
当時は「友達なんてそのうちできるんじゃないかな。。。」と思っていたこともありました。
でも誰もが友達ができるって、教室の中の安心感(心理的安全性)と関係があるんだなということがわか流ようになりました。
その子個人が頑張るんじゃなくて、ボクらにできることはもっとある。
あお
心理的安全性を高めるために毎日できること。。。
そんな試行錯誤の結果、最後の4年間、ボクのクラスでは、毎日、子ども同士のペアを作っていました。
オープンクエスチョンを練習したり、健康観察をそのペアでしたり、授業では考えを交流したり…1日ペアを作ることで、相手を知ることができ、友達関係に広がりが生まれます。
- 教室の子どもたちの関係性が深まっていかない。
- 高学年の教室でグループ化してしまうのに、戸惑う。
- クラスの子たちの仲を深めるための新しい方法を知りたい。
あお
1つでも当てはまったら、読んでみてください!
音声で積み上げ型の学級経営を解説!
目次
なぜ毎日、教室でペアをつくるのか?
それはずばり
人間関係の流動性を保つため
です。
高学年になると当たり前のように人間関係は固定しがち。この固定を無理に離すことはしませんが、そのままにしておく訳にもいきません。
高学年の問題って難しいですよね。 トラブルが起こってから手を打ちがち。そうすると、しばらく見守ったら乗り越えていけるものまで、介入が増えて、悪循環が生まれます。
まさに数年前のあなただね。。。
まーくん
あお
うぅっ。。。
いつも同じメンバーは時に疎外を、時にトラブルを生み出す温床となることが多いんですね。
だから、毎日のペアを作り、流動的に人間関係を作るシステムを使うことが、教室の中の多様なメンバーと組むことになります。
たまにでは意味がありません、毎日やることに意味があります。
毎日やることで、子どもたちはチャレンジができるんです。たとえ、今日が上手くいかなくても続けられるんです。
その積み重ねが自然な状態にまで、関係性を高めていくことができるのです。
1日では変わりませんが、長期間続けることができると、やがて教室の中の大きな変化となって現れます。
強い圧力ではなくて、毎日の緩やかな変化が、子どもたちの関係性を変えていくのです。
あお
黄金の3日間の逆をいきます。積み上げるんです。
イエナプランの第一人者リヒテルズ直子さんのお話の中でも、サークルタイムだけではなく、こういうペア作りが大事だというお話がありました。毎日や毎週、同じペアを作るということは非常に意味があると。
ペアの可能性を感じたのは、ジェニファーの講座
ペアを流動的かつ自発的につくるための仕組みを整えたことで教室が変わるのを実感できたのは、最後の4年間の大きな成果です。
それ以前は、「机の前後」「斜め」というペアの組み合わせしかやらなかったのでうまくいきませんでした。中途半端なペアは、反対に固定化を招いてしまったわけです。
PAJ(プロジェクトアドベンチャージャパン)がある年の3月に行っていたシンポジウムでジェニファー・スタンチフィールドさんと出会ったことが大きかったです。
ジェニファーは道具を愛用するアメリカの実践家で、ジェニファーカード(ここしか買えないと思い、思い切って購入!)というものをリフレクションに使っていました。
そして、そのカード以外に使っていたのは、ドミノとキーチェーン。
キーチェーンは同じ鍵でペアが生まれるもの。これ、アメリカだとホームセンターとかに無料で置いてあるそう。
二人一組のキーチェーンを使うと、ペアがくじ引き感覚で決まると教えてもらいました。
この偶然決まるペアの作り方…初期の頃はこれがいいと思います。「2人組組んで」と言われても自分から動けない子が多いからです。
あお
二人組組んで!は恐怖ですよね。。。
初期の段階では、ペアがわかりやすく決まることを大事にしてみてください。
間違っても「自由に二人組で組んで」はやめておこう!
まーくん
ペア作りを不安な時間に感じる子が増えちゃうからです。
クラスの仲を深めるペアの作り方
ボクは100円ショップのカードを使っていました。
IKEAの真剣衰弱用カードもオススメです。
自分のペアがカードによって決まります。最初はこのように自由度の低い決め方によって、どの子も安心してペアを組むことができます。
前からちょっぴり苦手なあの子とも「今日1日のペアだからね」っていう雰囲気が流れていくんですよね。
子どもに言い訳を作るって大事なんだよね。
まーくん
この積み重ねだと思うんです。地味だけど、こういう自然と距離感が近づくことを積み重ねていく。それが関係性をググッと変えていくんですよね。
あお
もちろんペア作りだけで全てが決まるわけじゃありません。
授業で、特別活動で、様々な場所でいろいろな組み合わせを経験することで、少しずつチームは変わっていくのです。
昨年度は、ペアトークのお題も兼ねて、シャベリカを使用しました。
2019年度は、「どうぶつあわせ」も使用中です。
低学年の子が、すごくわかりやすかったみたいだね!
まーくん
ペアは、いつ、どうやって作るの?
ここも質問が多い箇所なので答えておきます。
基本的には、ペアのカードを引くのは「朝登校してきたら」です。
朝の会の前には引いておく必要があります。
ベンチに座ってサークルを作るようになってからは、ペアの子と隣に座ってもらうようにしました。ベンチの位置は決まっているのではなく、ペアと座るということだけ決めていました。
カードの回収は、朝のサークル内で発言の時に、ふくろをトーキングスティックがわりに回して回収を終えていました。
あお
今日の気分を入れるボックスなどを用意しておくと、気持ちも視覚化できていいと思います!
なんでもいいので、何かの動作と結びつけて、配布・回収を終えることが大事なポイントです。先生の工夫しがいがあるところですよ。
1日決めたペアはその日のうちは変わりませんが、たくさんの場面でペアを活用します。
- 読み聞かせで一緒に聞いて対話する
- 朝のペアトークで対話する
- 授業中のインストラクションの時、一緒に座り対話する
- 授業中に考えを交換する
- 授業の振り返りで対話する
などなど、いろんな場面で生かせます。徹底して対話を繰り返すわけです。
一日中、ずっと一緒にいるってこと??
まーくん
あお
そこまでガッチリしなくていいんだよ。
勘違いされがちですが、ペアとずっと一緒にいなくてはいけないわけじゃありません。
ちょっとした活動にペアを結びつけて、無理なく1日を過ごすイメージです。
この辺はバランス感覚が必要なんですが、基本的にどこにいるか誰といるかは、自己決定させたいのです。ただ、それだけだと関係性が固まりすぎてしまうので、ペアを使って、緩やかに関係性を広げることを促しています。
1日に5〜10回ぐらいペアの活動があります。これを毎日やるんです。
結構多くない!?
まーくん
あお
1、2回じゃ何も変わらないよ。
今はコロナでこういう活動は難しいのかもしれませんが、基本的に先生たち、量を低く見積りがちです。
1、2回じゃ、失敗できないんですよ。
あぁだったらどうだろう?こうだったらどうだろう?
そんな不安が付き纏います。
10回あれば、9回話すことがなくても、1回ぐらい話せます。
毎日あれば、2、3日やったら話せるようになります。毎日続けていくことが大事なんです。
慣れてきたら、ペア作りにも選択の幅を
ドミノは、少し慣れてきた後に使いました。ドミノは下のような数字が書かれている「昔からのドミノ」です。
よくある倒すドミノではないんだね!
まーくん
ペアを作るとき、少し「自分で選ぶ」が加わってきます。「選択する」ことは何よりも大切。
あお
ジェニファーも選択することの大切さは強調していました!
シンプルに同じ数字でもいいし、同じ色でもいい。足し算や引き算した数でもいい。相手との共通点を探すこと、幅が出てきて、自発性が生まれます。
ただ、同時に特定の子と組まない子も出てきますね。この辺りが課題かなと感じています。クラスの状態を見て、子どもたちに相談する…そのプロセスは大事だと思います。
2016年度のペア作りは?
クラスの状態を見ながら、自分自身でチャレンジしていける幅を増やしていくようにする頃に導入しました。ペアづくり初年度である2016年度は、4年生担任ということもあり、9月から行いました。
ちなみにこれらのペア作りの道具は、その日の帰りに「明日の目標」の投票券になっていて、明日の目標候補が書かれたボードの袋に入れて、帰っていました。
難点は二つの道具ともすぐにお道具箱に入れっぱなしの子が出ることです。
結果「朝の会で回収しよう!」とクラス会議で決定され、朝回収することが自然な流れとなりました。
2017年度のペア作りは?
この年はどうしたの??
まーくん
あお
「サークルタイムプロジェクト」の子たちが、ペアの組み方を教えてくれるようになったんだ。
いろいろな事情があり、前期の終わりまでペアカードでしたが、後期からは子どもたちと相談して、前述のドミノを使うことになりました。
ドミノの数字の足し算なのか、共通する数字なのか、それとも色なのかは、「サークルタイムプロジェクト」のメンバーが毎朝、皆に知らせることに決まりました。子どもに相談してみるのがやはり一番!
プロジェクトはこちら!
友達できないが起こらない!?ペアが生み出す効果
ペアの生み出す効果として、次の3つが挙げられます!
- 思考の質、成果の質が変化する!
- 仲が深まり、相互理解に深まる
- 学習の質も向上!
思考の質、成果の質が変化する!
ダニエルキムの理論で言うと、関係の質を上げることで、他の質も上がってきます。
ここってすごく大切で、行動や成果の質を上げようと、無理に声を張りがち。
でもボクらが本当に力を入れなくてはいけないのは①で、人間関係の質が上がっていくと、他の要素も自動的に上がっていくのです。
ペアづくりは、関係の質をあげることにうってつけなわけです。
ペア作りで、仲が深まり、相互理解につながる
このペアづくり、続けてみるとわかりますが、非常に仲が深まります。
子ども同士、特に男女間の仲は自然な感じになります。
前期の終わりの振り返りに「女子と話せるようになった」という男子の感想が多かったのが印象的。思考の質も向上しているので、「意味のわからない」思考がへり、確実に行動に現れてきます。
大抵の人と話せるよ!誰と組んでもOK!
子どもたち
いったんやってみるといいと思います。殺伐とした雰囲気は消え、学級の中に安心できる雰囲気が生まれます。
この雰囲気って、短期的には生み出せないものであり、それは日常の積み重ねからしか生まれません。
ペア作りで学習の質も向上!
学習の中で対話量の確保はすごく重要になってきます。
一斉授業で黙っている授業を続けるならいいのですが、「学習の個別化」に向かっていくなら、対話量があることは重要な要素となります。
ペアと対話に取り組んだここ数年の学習内容は年々深まっています。ペアという安心できる相手との対話は学習にリズムを生み出します。
低学年の今年は読み聞かせのペアや、意見交換のペアとしても、活用しています。
学習中に今日のペアをいかにつくるか…それこそ先生の腕の見せ所ですよ。
あお
ヒミツキチでも火・水・金はペア作っていますね!
ペアづくりについていただく質問について
Q
座席はどうしていますか?毎日ペアで座席も近くにしているのか?ペアで、と言われた時にだけ座席移動してるのですか?
A
ペアで座席には座りません。基本的にペアでって言われたときに「話に行く」ことを大事にしています。
結構、自分の机に来てもらうのを待つ子がいるんだけど、「それってどうなの?」って問いかけると減ってきます。
イエナプランで大事にされている要素の1つに、子どもの人数以上の机や座る場所を確保することが挙げられます。ベンチを置いていた時期には、ベンチに座るなどすると、椅子が余るので、ペア作りが気軽でしたね。
Q
男女混ぜ混ぜでペアをつくりますか?男男、女女のペアもありですか?
A
必ず混ぜてペアを作ります。
人間関係を混ぜる(専門用語で「リワイヤリング」と言います。)ことにこそ価値があると思っています。
リワイヤリングの基本は全員です。
ちなみに、男女だと嫌がるっていうのは、最初の時には起こります。だから毎日回数を重ねるんです。たまにだと照れるし、嫌がるけれど、毎日だと諦めます(笑)
それ以上に混ぜることの効果を感じるようになります。
「組んだペアのことを他の人に話さない」っていう予防線は張っておくといいかもしれませんね。
あお
絶対ダメ!とかじゃなく。。。。自然とこうなるといいよねーってのが大事です。
Q
毎日すると知恵がついてきて、カードを交換しようとしる子はいませんか?
A
4年間で1度だけありましたね。
ただ、これってみんなで話し合うチャンスなんだと思っています。こういう話題が話し合える場所があることが何よりも大事。
あお
学級会やってる場合じゃないっす、クラス会議っす。
先生が問題を解決するんじゃなく、先回りして心配するのではなくて、それを子どもたちとどう捉えるかが大事だと思っています。
何かが起こったら、子どもたちと解決しましょう。
友達できない!が起こらないペア作りをやってみよう!
いかがだったでしょうか。
ペアトークも併せて実践報告が届いています。
いつスタートしても決して遅いということはありません。
まずは1ヶ月、じっくりやってみてください。
毎日ペアトークを入れること、学習でも毎時間そのペアで話す場があること。
そしてやる前に恐れるのではなくて、やってから考えるのです。
そして小さな改善を子どもたちと繰り返すのです。
あお
ボクはヒミツキチでもそうやってますし、それが先生の醍醐味だと思っていますよ。
ペアでの実践も載っていて、学級経営まるごとをどうやっているか知りたい方はこちらもどうぞー!
ぜひ手に取ってみてください!
まーくん
KEAやフライングタイガーで神経衰弱のカードを購入することで、早速新学期からやることができますよ。
関係の質を上げること…そこに力を注ぎましょう!
あお
それでは今日も良い一日を!
音声で積み上げ型の学級経営を解説!
ペアトークの中身についてはこちら!
学級経営のまとめ記事はこちら!